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在留特別許可とは

在留特別許可とは、退去強制事由(入管法第24条)に該当する外国人(不法入国・不法残留・在留資格取消等)に対し、法務大臣が例外的に在留を認める制度です(出入国管理及び難民認定法第50条)。

原則として本邦から退去すべき立場にある者に対して、個々の事情を総合的に考慮し、在留を特別に許可するかどうかが判断されます。日本人の配偶者や日本国籍の実子を扶養している場合、永住者と婚姻している場合、人道的配慮が必要な場合などが許可されることが多いです。

在留特別許可が検討される主な場合(法第50条第1項各号)

  1. 永住許可を受けているとき
  2. かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
  3. 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき
  4. 難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けているとき
  5. その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき

ただし、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者、一定の退去強制事由(同条第1項ただし書)に該当する者は、「特別の事情」(生命に危険が及ぶ治療が必要など、在留を認めないことが人道上酷に過ぎると認められる事情)がない限り在留特別許可はされません。

判断時に考慮される事情(法第50条第5項)

在留特別許可の許否判断では、次の事項等が考慮されます。

  • 在留を希望する理由
  • 家族関係(子の利益の保護、日本人・特別永住者との家族関係等)
  • 素行(地域社会との関係、法令遵守、反社会性の有無等)
  • 本邦に入国することとなった経緯
  • 本邦に在留している期間及びその間の法的地位
  • 退去強制の理由となった事実
  • 人道上の配慮の必要性
  • 内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響 その他

出入国在留管理庁は「在留特別許可に係るガイドライン」で考慮事項の考え方を示しており、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に在留特別許可が検討されます。詳細は法務省・出入国在留管理庁の公表資料をご参照ください。

本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する特例的な対応

令和5年8月の法務大臣方針により、退去強制令書の発付を受けた者のうち、令和6年6月10日(入管法等改正法施行日)までに我が国で出生し、小学校・中学校又は高等学校で教育を受けた方については、今回に限り家族一体として在留特別許可を検討する方針が示されました。ただし、親に看過し難い消極事情(不法入国・不法上陸、偽造在留カード行使・偽装結婚等の根幹違反、薬物使用・売春等の反社会性の高い違反、懲役1年超の実刑、複数回の前科など)がある場合は対象外となる場合があります。対象者には地方出入国在留管理局から案内がなされています。

申請要件

手続根拠
出入国管理及び難民認定法第50条
手続対象者
退去強制事由(法第24条)に該当する外国人
受付期間
次のいずれかのときから、退去強制令書が発付されるときまでの期間
1. 収容令書により収容されたとき(仮放免許可を受けている場合を含む)
2. 監理措置に付されたとき
申請の受付方法
1. 収容令書により収容されている外国人
申請を希望する旨の意思表示を行い、入国審査官等と面接の上、申請を行う。
2. 仮放免許可を受けている外国人又は監理措置に付されている外国人
地方出入国在留管理官署に出頭し、面接の上、申請を行う。ただし、16歳未満又は疾病等により自ら申請できないときは、父、母、配偶者、子又は親族が申請人に代わって申請できる。
3. 刑事施設等に拘留等されている外国人
申請を希望する旨の意思表示を行い、入国審査官等と面接の上、申請を行う。
手数料
手数料はかかりません。
不服申立
なし。

※退去強制令書が発付された後は、原則として在留特別許可の申請はできません。

必要書類一覧

申請書

資料(該当する場合に提出)

  1. 永住許可を受けているとき
    在留カードの写し
  2. かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
    除籍謄本、除籍証明書又は除籍電子証明書
  3. 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するとき
    陳述書(任意様式)
  4. 難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けているとき
    難民認定書又は補完的保護対象者認定証明書の写し
  5. その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき
    当該事情を証する資料

訳文について
資料が外国語で作成されている場合は、原則として日本語の訳文を提出します。ただし、(1)過去に訳文を添付して提出した資料と同一の資料、(2)パンフレット等一般に英語で作成・配布されている資料、(3)在職証明書・卒業証明書・法人登記謄本・雇用契約書など定型的な英文資料で専門的知識を要しないものは、訳文が不要な場合があります。

参考リンク(法務省・出入国在留管理庁)

申請から許可が出るまでの期間

早い場合は4ヶ月~9ヶ月ほど、遅いケースであれば3年かかることもありますが、一般的には1年くらいが多いです。

①在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例

在留特別許可された事例

  1. 在日期間が8年9ヶ月、不法残留期間が6年11ヶ月滞在で、婚姻期間が4年1ヶ月で日本人の配偶者であったため許可された。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)
  2. 在日期間が12年1ヶ月、不法残留期間が1年滞在で、約1年婚姻期間が45ヶ月未成年の子供が2人いたケースで日本人の配偶者であったため許可された。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)
  3. 在日期間が18年、不法入国で18年滞在で、婚姻期間が1年11ヶ月日本人の配偶者であったため許可された(現夫との間に子はないが、前夫との間に生まれた日本国籍を有する実子を育てていた。)。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)
  4. 在日期間が3年1ヶ月、不法入国で3年1ヶ月滞在で、婚姻期間が1年3ヶ月で未成年の子供が2人いたケースで日本人の配偶者であったため許可された。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)
  5. 在日期間が9年4ヶ月、不法残留期間が8年11ヶ月滞在で、婚姻期間が4年で日本人の配偶者であったため許可された。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)

在留特別許可されなかった事例

  1. 在日期間が10年5ヶ月、不法入国で10年5ヶ月滞在で、婚姻期間が11ヶ月で退去強制歴が3回あったケース。
  2. 在日期間が2年10ヶ月売春従事で警察に逮捕され、婚姻期間が1年2ヶ月で被退去強制歴1回あり、また同居・婚姻の実態も疑義がもたれたケース。
  3. 在日期間が7年11ヶ月不法入国で警察に逮捕され、婚姻期間が2ヶ月で、入管法違反(不法入国)により懲役2年、執行猶予4年の判決出国命令歴あり。今次入国は船舶による密航。勾留中に婚姻が成立したケース。
  4. 在日期間が11年3ヶ月で不法残留期間が刑罰法令違反で警察に逮捕され、不法残留期間が約2年3ヶ月で、強盗致傷により、懲役3年の判決が下されたケース。

②配偶者が正規に在留する外国人の場合

在留特別許可された事例

  1. 在日期間が9年6ヶ月、不法残留期間が9年3ヶ月、婚姻期間が約1年3ヶ月で在留資格:配偶者が永住者のケース。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)
  2. 在日期間が6年、不法残留期間が1年4ヶ月、婚姻期間が1年11ヶ月で在留資格:配偶者が永住者のケース。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)
  3. 在日期間が12年9ヶ月、不法残留期間が12年9ヶ月、婚姻期間が6ヶ月で在留資格:配偶者が特別永住者のケース。(許可内容 在留資格:日本人の配偶者等(国際結婚) 在留期間:1年)
  4. 在日期間が9年、不法残留期間が8年、婚姻期間が1年で在留資格:配偶者と子が永住者のケース。(許可内容 在留資格:定住者 在留期間:1年)
  5. 在日期間が9年、売春従事で刑罰法令違反で警察に逮捕され、婚姻期間が6年1ヶ月で、未成年の子が2人で本人と子が永住者、配偶者が定住者のケース。(許可内容 在留資格:定住者 在留期間:1年)

在留特別許可されなかった事例

  1. 在日期間が6年8ヶ月、不法残留期間で3年4ヶ月滞在で、婚姻期間が10ヶ月で、同居・婚姻の実態に疑義がもたれたケース。
  2. 在日期間が4年6ヶ月、不法残留期間で4年、婚姻期間が1ヶ月で、摘発後、当局収容中に婚姻が成立したケース。
  3. 在日期間が4ヶ月、資格外活動での不法残留で1ヶ月、婚姻期間が2ヶ月で、同居・婚姻の実態に疑義がもたれたケース。
  4. 在日期間が8年2ヶ月で、摘発時に偽造在留カードを所持での不法残留で3年、婚姻期間が8ヶ月で、摘発時に偽造在留カードを所持していたケース。
  5. 在日期間が18年で、不法残留期間で18年、罰法令違反で警察に逮捕され、婚姻期間が19年で未成年の子が2人で、違法薬物の密輸入により実刑判決を受けた、被退去強制歴が1回あるケース。

③外国人家族の場合

在留特別許可された事例

  1. 在日期間が21年2ヶ月で、不法残留期間が8ヶ月で、家族構成が配偶者:不法残留(在日期間:約14年,違反期間:約8ヶ月)子:不法残留(在日期間:約12年11ヶ月,違反期間:約8ヶ月)・12歳家族3人とも在留資格:定住者で、家族全員で出頭申告し、母には被退去強制歴1回あったケース。
  2. 在日期間が22年3ヶ月で、不法残留期間が22年で、家族構成が子:本邦出生後,在留資格未取得・10歳で、母子で出頭申告したケース(子の父親は出国済み)。
  3. 在日期間が21年、不法残留が21年で、家族構成が子:本邦出生後,在留資格未取得・14歳で母子で出頭申告し、子の父親とは交流がないケース。

在留特別許可されなかった事例

  1. 在日期間が14年9ヶ月で不法入国し、違反期間が14年9ヶ月で、家族構成が配偶者:不法残留(在日期間:約10年11ヶ月,違反期間:10年8ヶ月)、子:本邦出生後に在留資格未取得・1歳で家族全員で出頭申告し、父母ともに被退去強制歴1回あるケース。
  2. 在日期間が6年11ヶ月で不法入国し、違反期間が6年11ヶ月で、家族構成が子:本邦出生後,在留資格未取得・6歳で、母子で出頭申告し、子の父親とは交流のないケース。

④その他の事例

在留特別許可された事例

  1. 在日期間が20年、不法残留期間が19年7ヶ月で、在留希望理由が日本に生活基盤があるから。(許可内容:在留資格・定住者 在留期間:1年)
  2. 在日期間が9年、不法残留期間が8年9ヶ月で、在留希望理由が実子の監護,養育日本国籍を有する実子を監護、養育しているから。(許可内容 在留資格:定住者 在留期間:1年)
  3. 在日期間が9年3ヶ月、不法残留期間が9ヶ月で、在留希望理由が実子の監護,養育DV被害者として公的機関に保護されたというケース。(許可内容 在留資格:定住者 在留期間:1年)
  4. 在日期間が4年9ヶ月、不法残留期間が3年7ヶ月で、在留希望理由が実子の監護,養育日本国籍を有する実子を監護,養育しているというケース。(許可内容 在留資格:定住者 在留期間:1年)
  5. 在日期間が2ヶ月、不法残留期間が2ヶ月で、在留希望理由が人身取引被害者として公的機関に保護され、国際機関の支援を受け、早期帰国を希望したケース。(許可内容 在留資格:特別活動 在留期間:1年)
  6. 在日期間が44年10ヶ月、不法残留期間が17年4ヶ月、在留希望理由が日本に生活基盤がある日本人の子として,占領下の沖縄で出生したケース。(許可内容 在留資格・定住者 在留期間:1年)
  7. 在日期間が11年1ヶ月、不法入国し、不法残留期間が11年1ヶ月、在留希望理由が出国準備のため実母の育児放棄により児童相談所に保護されていた。本国の実父に引き取られるに当たって準備期間が必要であったケース。(許可内容 在留資格:特別活動 在留期間:6ヶ月)

在留特別許可されなかった事例

  1. 在日期間が8年3ヶ月、資格外活動による不法残留が10ヶ月、在留希望理由が布教活動をしたい。(在留資格「宗教」の許可を受けて在留中,専ら運搬労務作業者として資格外活動していたケース)
  2. 在日期間が8年1ヶ月、不法残留が2ヶ月、在留希望理由が日本に生活基盤がある(就職先を偽装して「人文知識・国際業務」への在留資格変更許可を受けた後,専ら飲食店従業員として稼働していたもの。摘発後収容中に不法残留となったケース)
  3. 在日期間が2ヶ月、入国審査官からの通報で在留資格取消になり、在留希望理由が同国人配偶者(人文・国際)との同居を継続したい。(被退去強制歴1回あり。退去強制歴を隠して上陸許可を受けたことが発覚し,在留資格を取り消されたケース)
  4. 在日期間が24年2ヶ月、不法入国で不法滞在が24年2ヶ月、在留希望理由が日本に生活基盤がある。(偽装結婚であることが判明し,在留資格を取り消されたもの。 在留資格取消処分後,偽装結婚相手と同居を始めて本邦在留を希望したケース)
  5. 在日期間が2年4ヶ月、在留資格取り消しをされていたが滞在していて、在留希望理由が日本人夫(偽装婚相手)と同居したい。(偽装結婚であることが判明し,在留資格を取り消されたもの。在留資格取消処分後、偽装結婚相手と同居を始めて本邦在留を希望したもの。電磁的公正証書原本不実記録・同供用により懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の判決)
  6. 在日期間が18年、刑罰法令違反で警察に逮捕され、不法残留期間が6年9ヶ月で、在留希望理由が日系三世である日本に生活基盤がある。(刑務所服役中に不法残留となったもの。覚せい剤取締法違反、建造物侵入、窃盗、住居侵入、強盗未遂により懲役7年の判決)
  7. 在日期間が17年4ヶ月、刑罰法令違反で警察に逮捕され、不法残留期間が2年4ヶ月、在留希望理由が日系二世である。(刑務所服役中に不法残留となったもの。大麻取締法違反,覚せい剤取締法違反の前科あり。覚せい剤取締法違反により,懲役1年6ヶ月の判決)