難民認定とは、母国で人種・宗教・国籍・特定の社会的集団への所属・政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあり、母国の保護を受けられない(または受けられないと考える)方が、日本にいる状態で「難民」として認めてもらう手続きです。申請は出入国在留管理庁(入管)が審査し、認定されると安定した在留資格が付与されます。あわせて、紛争避難民などを保護する「補完的保護対象者」の認定制度も2023年12月から運用されています。
難民認定の対象となる方
次のような方が難民認定の対象となります。
- 難民条約上の難民:人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあり、十分な理由に基づく恐怖を有するため、国籍国の外にいる方で、その国の保護を受けられない、または受けることを望まない方。
- 補完的保護対象者:上記の「5つの理由」には当たらないものの、本国に戻ると死刑・拷問・その他の非人道的な扱いを受けるおそれがある方(紛争避難民など)。難民条約以外の理由で保護が必要な方を対象とした制度です。
申請の流れと在留資格
難民認定(または補完的保護対象者認定)の申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に出頭し、申請書のほか、難民(または補完的保護対象者)であることを示す資料、パスポートや渡航書などを提出・提示して行います。申請者ご自身で立証することが求められます。
申請中および審査結果が出るまでの間、在留の扱いは次のとおりです。
- 在留資格がない方(不法残留等):一定の要件を満たす場合、「仮滞在許可」が付与され、原則6か月間、退去強制手続が停止され、適法に滞在できます。期間は更新申請で延長可能です。
- すでに在留資格がある方:在留資格を「指定活動(6か月)」に変更できる場合があります。審査が終わらない場合は更新が必要です。
※2024年の入管法改正により、3回目以降の難民認定申請については、退去強制の執行が停止されない場合があります。
認定された場合の在留資格
難民として認定された方、または補完的保護対象者として認定された方は、原則として在留資格「定住者」が付与されます。人道的配慮から「定住者」が認められる場合もあります。いずれも日本で安定して生活・就労するための在留資格です。
難民認定を受けた方の主なメリット
難民として認定されると、次のようなメリットがあります。
①永住許可の要件の緩和
永住許可には通常「独立して生計を営むに足りる資産または技能を有すること」が求められますが、難民認定者(および補完的保護対象者認定者)は、この要件を満たさない場合でも、法務大臣の裁量により永住許可を受けられる可能性があります。
②難民旅行証明書の交付
難民はパスポートを所持していないことが多いため、代わりに「難民旅行証明書」が交付されます。有効期間内であれば、日本からの出国・再入国を繰り返して利用できます(補完的保護対象者の方は難民旅行証明書は交付されず、再入国許可書の対象となります)。
③難民条約に基づく権利
国民年金、児童扶養手当、福祉手当など、日本国民と同様の社会保障上の権利を利用できる場合があります。
補完的保護対象者認定制度とは
日本は難民条約に基づき、人種・宗教・国籍・特定の社会的集団・政治的意見の5つの理由で迫害を受けるおそれがある方を「難民」として保護してきました。一方で、この5つの理由には当てはまらないものの、本国に戻ると生命の危険、拷問、非人道的な取扱い、紛争による無差別な暴力などを受けるおそれがある方もいます(紛争避難民など)。
こうした「条約上の難民ではないが、同様に保護が必要な方」を確実に保護する制度として、2023年12月1日から補完的保護対象者認定制度が始まりました。難民条約による保護を「補完」する制度で、認定されると在留資格「定住者」が付与され、日本で安定して生活・就労する道が開かれます。
補完的保護の考え方のポイント
- 難民条約の「5つの迫害理由」には当てはまらないが、国際人権法(拷問等禁止条約・自由権規約等)に照らし、送還すると重大な危害を受けるおそれがある方を保護する。
- 「人道配慮」のような裁量ではなく、法に基づく手続として審査・認定が行われる。
- 認定後は難民と同様、定住者としての在留、永住許可要件の緩和、定住支援プログラムへの参加の機会などが与えられる。
難民認定と補完的保護の比較
どちらの制度も「母国に戻ることが危険な方」を日本で保護するためのものです。違いを表にまとめます。
| 比較項目 | 難民認定 | 補完的保護対象者認定 |
|---|---|---|
| 保護の理由 | 人種・宗教・国籍・特定の社会的集団・政治的意見のいずれかを理由に迫害を受けるおそれがある | 上記5つ以外の理由で、生命の危険・拷問・非人道的な取扱い・無差別暴力等を受けるおそれがある(紛争避難民など) |
| 法的根拠 | 難民条約・難民の地位に関する議定書 | 入管法上の補完的保護対象者認定制度(2023年12月~) |
| 認定後の在留資格 | 原則「定住者」 | 原則「定住者」(難民と同様) |
| 永住許可 | 「独立の生計を営むに足りる資産・技能」がなくても、裁量で永住許可の可能性あり | 同様に要件緩和の対象 |
| 出国・再入国 | 難民旅行証明書の交付を受けられる | 難民旅行証明書は対象外。代わりに再入国許可書で出国・再入国 |
| 定住支援プログラム | 参加できる場合あり | 希望する場合は参加できる場合あり |
| 申請・審査 | 難民認定申請。仮滞在許可の要件あり | 補完的保護対象者認定申請。仮滞在許可の要件あり(難民と同様の手続) |
| 審査請求 | 不認定通知から7日以内に審査請求可能 | 同様に7日以内に審査請求可能 |
まとめると、「なぜ保護が必要か」の理由が難民条約の5つに当てはまるかどうかで、難民認定か補完的保護対象者認定かが分かれます。いずれにしても認定されれば在留資格「定住者」が付与され、日本で安定した生活を送るための基盤が得られます。
補完的保護対象者認定を受けた方について
補完的保護対象者として認定された方も、原則として在留資格「定住者」が付与され、永住許可要件の緩和や定住支援プログラムへの参加の機会など、難民に準じた保護が受けられます。一方で、難民旅行証明書は交付されず、出国・再入国には再入国許可書を取得して利用することになります。
仮滞在許可を受けている間は、住居や行動範囲に制限があり、難民調査官からの出頭要請に応じる義務などがあります。認定後は「補完的保護対象者認定証明書」が交付され、各種手続で証明が必要な際に提示します。
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