退去強制とは、入管法により定められている行政処分で、日本に滞在している外国人を強制的に日本から退去させることをいいます。
退去強制事由
- 有効な旅券を所持せず日本に入った者、又は入国審査官から上陸の許可を受けないで日本に上陸する目的を有して日本に入った者
- 入国審査官から上陸の許可を受けないで日本に上陸した者
- 在留資格を取り消された者
- 在留資格を取り消された者で、出国に必要な期間を経過して日本に残留する者
- 他の外国人に不正に上陸許可、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可等を受けさせる目的で、文書等を偽造したり、偽造文書等を行使、貸与等をした者
- 日本に在留する外国人で次に掲げる者
- 資格外活動の禁止に違反して事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行っていると明らかに認められる者
- 在留期間の更新又は変更を受けないで、在留期間を経過して日本に在留する者(オーバーステイ)
- 人身取引等を行った者
- 旅券法違反の犯罪で刑に処せられた者
- 入管法違反の犯罪で刑に処せられた者
- 外国人登録法違反の犯罪で禁錮以上の刑に処せられた者
- 少年で長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられた者
- 薬物犯罪で有罪の判決を受けた者
- そのほか無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者
- 売春に直接関係ある業務に従事する者
- 他の外国人の不法上陸や不法入国をあおり、そそのかし、助けた者
- 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てたり、又はこれを企て若しくは主張する政党等を結成し若しくはこれに加入している者
- 次に掲げる政党等を結成し若しくはこれに加入したり、又は密接な関係がある者
- 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え又は殺傷することを勧奨する政党など
- 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党等
- 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党など
- 上記の政党等の目的を達するため、文書図画を作成・頒布・展示した者
- 法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行ったと認定する者
- 短期滞在の在留資格をもって滞在する者で、日本において行われる国際競技会等の経過や結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもって、その会場等において不法に人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊した者
- 仮上陸の許可の条件違反者
- 上陸拒否事由に該当し退去命令を受けた者で、遅滞なく退去しない者
- 寄港地上陸の許可等を受けた者で、許可期間を経過して日本に残留する者
- 数次乗員上陸許可を取り消された者で、出国に必要な期間を経過して日本に残留する者
- 日本の国籍を離脱した者又は日本で出生した外国人等が、在留資格を取得せずに国籍の離脱・出生の日から60日を経過して日本に残留する者
- 出国命令を受けた者で出国期限を経過しても日本に残留する者
- 出国命令の際に付された条件に違反したため出国命令を取り消された者
- 難民の認定を取り消された者
退去強制の手続
退去強制の手続は、違反調査→収容→審査→口頭審理→異議の申出→退去強制令書の発付→退去強制令書の執行の流れで行われる。以下概説する。
退去強制の手続の流れ
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退去強制令書の発付
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退去強制令書の執行
口頭審理
容疑者が認定に異議がある場合は、認定通知の日から3日以内に特別審理官に対して、口頭審理の請求をすることができます。特別審理官は、関係書類を精査して容疑者から事情を聴取し、入国審査官の認定に誤りがないか口頭審理を行います。入国審査官の認定に誤りがあり、退去強制事由がないと判定された場合は、直ちに容疑者は放免されます。
出国命令対象者であると判定された場合には、出国命令手続に移行して、容疑者は出国命令を受けたら直ちに放免されます。容疑者が退去強制対象者に該当するとの認定に誤りがないと判定された場合は、その旨と異議の申出の権利を告知されます。容疑者が判定に服した場合は、主任審査官により退去強制令書が発付されます。